白内障の手術について
今日は白内障について書こうと思う。
外来をしていてもっとも相談を受けるのが白内障についてである。
一概に白内障と言っても範囲が大きすぎるので今日はよく相談を受ける手術について書こうと思う。
まず白内障は病気ではない。その認識をもっていただきたい。
45歳を過ぎればだれもが少なからず持っている白髪のようなもの。それが白内障である。
白内障の濁りにより不可逆な視力低下が起こってくると点眼による治療はできず手術を考える。
ご本人の見えにくさの訴えとわたしのほうから観察した所見で判断していく。
まずわたしのほうから診て早急に手術しなければならない白内障が存在する。
これはご本人への説明を十分にした後、すぐさま手術を受けていただく。(全白内障の1~2%)
それ以外の98%の白内障については訴えの度合いを優先する。
『最近は手術も簡単になったって聞きました』といわれるかたもいるが現実はそうではない。
わたしが外来診療で一番気をつけるのが患者さまからこの言葉を聞いた時だ。
これは手術が簡単になったのではない。長年にわたる先人たちによる技術革新があり
その結果、合理的な手技と手術時間の短縮がなされたのだ。
上記が真実である。100人いれば100種類の目の状態があるのだ。
よって知人の手術がうまくいったからといって自分が受ける手術がうまくいくとは限らない。
人間の体の手術で簡単なところや100%の安全など絶対にない。ましてや生活のなかで
90%の情報を仕入れる目の手術である。受けていただくご本人にもしっかりとした認識を持って
いただくことから手術ははじまると考えている。
手術は1度行うと元には戻れない。覆水盆に返らずである。
術後にこんなはずじゃなかったと言われるかたもおられると聞く。
私の仕事のなかでもっとも大事にしているポリシーはいいことも悪いことも包み隠さず
話をすることである。
わからないことはなんでも聞いて欲しい。
『その質問がわたしを成長させる』と思いなさい。
これは私の尊敬するお世話になった先輩先生の教えである。
ご本人が最も満足できる時期に自覚を持って手術に臨むことができ、術後、幸せになれるように
するのが私の役目だと思っている。
by supersoul9201 | 2011-06-10 18:09